第4話. ようこそ、私たちのホームへ!
この記事はシリーズ続編になります。ぜひ第1話よりご覧ください。
前回までのあらすじ
2020年1月某日、新しいオフィス「渋谷ファーストタワー」への移転を任せられた僕。
はじめての類の業務ながらも、周りのメンバーの絶大な助けがあり、プロジェクトは順調に進んでいた。
そんなある日、コロナが猛威を振るい、4月にはメンバーの健康を第一に、ほぼ全員が在宅に移行した。
僕らは在宅が中心となる中で、オフィスは「ホーム」であるべきという一つの答えをだした。
そして着々と工事は進み、ついにオープンの日を迎えた。
■主な登場人物
この話の主人公。いわゆる中間管理職。音楽と旅行と勉強を愛する少数派。在宅快適ですよ、といいながら本当は寂しくて出社したい。頼られると照れてなんでもやってしまう穏健派の何でも屋。
目次
曲がりくねった道の先に
達成感のあるプロジェクトには、山も谷もある。(両方つらくない?)
白紙の危機を乗り越えて、新オフィスの方向性が決まってからも、実は沢山の出来事があった。
- 工事開始の直前まで社内決裁がおりず、遅延の危機があったり…。
- 工事で天井を抜いてみたら、「あれ・・・汚くない・・?」と焦ったり…。
- 入居する部門が増えてレイアウトの再考を求められたり…。
- 大事な時に風邪ひいて来なくなっちゃう上司がいたり…。
そんな山谷を、社内外のプロジェクトメンバーと1つ1つ乗り越え、ついに、1つの形として、オープンを迎えた!
今回は、ここまで読んでいただいた皆様にも、余すことなくオフィスツアーをしたいと思う。
この回の記事を無事に書けて、本当に嬉しい!
ここは渋谷を望む丘の上
場所はJR渋谷駅から表参道側に歩いて8分程度。
渋谷が谷になっているので勾配がありますが、、、良い運動と考えてください!
まずは、総合受付のある7Fから。
エレベーターを抜けると、transcosmosのロゴが目に入ります。
そしてエントランスへ。
総合受付、とお伝えしましたが、在宅へシフトしているので受付は無人です。
(たくさんのお花、ありがとうございます!)
受付には1台のiPadのみ。
“WE ARE OPEN.”には、開店しているよ、という意味と、このフロアの「Open & Humanity」を体現するために、自分たちはOPEN(姿勢)だよ、という2つの意味を込めています。
いざ中へ・・の前に、絶対にやれよ、とばかりにアルコール消毒液が行く手を阻む。
中へ入ると、これオフィス?と思うような空間が広がる。
広々としたフロアにゆとりをもって配置された家具。
ところどころにアクセントで見える色相がポップな感覚も与える。
WE ARE OPEN.
ここに来たら、お互い防御なし、上下関係なし(とは中々難しいが)、本音で、これまでの概念に縛られず、自由に、発想しよう、会話しよう。
そのためのオフィスであり、フロアです。
昨今のシェアオフィスのようなビンテージ家具や大人なシェアオフィスとは役割が違う。
そのため、ただ「カッコいい」だけにはならないように気を付けました。
そしてなんと、フロアに流れているBGMは「水曜日のカンパネラ」の楽曲を担当している釼持英郁(ケンモチヒデフミ)さんに、特別に書き下ろしていただきました!
ただカッコいい、おしゃれなBGMではなく、この音楽を聴きながら会話をしていると、心が軽く話せるようにと、キーワードは「気持ちよさ」「透明感」「さわやかさ」でお願いさせていただきました。
そんなポップ気味のオーダーの中でも、BGMとして聴き入っちゃうようなメローになりすぎないスレスレのところで、フレーズやキメが入っていたり、細かな音の配置が洗練されていたり。
爆音で聞いても、メチャクチャカッコいい。
長さとしては30分程度ですが、構成も様々に移り変わり抑揚があり、ちゃんと聴いていると、すぐに終わってしまうのがスゴイ…。
釼持さん、ご多忙のところ本当にありがとうございました!
Kenmochi Hidefumi
サウンドプロデューサー/トラックメイカー/作詞家/作曲家。2012年よりポップユニット<水曜日のカンパネラ>を始動し、作詞作曲を含めサウンドプロデュース兼メンバーとして所属。現在は新人アーティストxiangyuの全面プロデュースも手掛けながら、自身のアルバムリリースなど勢力的に活動中。
個性豊かな家具
フロアの全体感をお伝えしたところで、今度は家具を紹介しますね。
今回の家具、椅子と机を除いて、ほとんどがオリジナルです。
キーワードは「Simple & Flexibility」。
弧の形をした「ソファー」「本棚」「カウンター」「パーティション」はすべて同じRになっていて、自由自在に組み合わせることができます。
僕らの働き方やオフィスの使い方の変化に合わせて、レイアウトも更新していければ良いという考え方を、バッタネイションの岩沢兄弟に仕上げていただきました。
フロア内にはいくつか特徴的なエリアがあります。
1つ目はスタジアムの観客席のようなものが設置されているエリア。
セミナーはもちろん、チームミーティングでも利用できます。
テレビ番組のひな壇っぽく、ここに組織長が並んで座ったら、なんか面白そうなコンテンツができそうだ(笑)
もう一つはフロアの中心に配置された大型サイネージ
プロジェクター3台を利用し合成させています。
専用のiPadで操作することでPCの画面やTVも流すことができるので、イベントやセミナーやチームミーティングを実施したり、ワールドカップやオリンピックを流すこともできます。
続いてフロアで目につくのが、家みたいなブース。
MeetやZoomでの打ち合わせが増えるため、少し遮音性のあるセミクローズドなブースとして制作しました。
中には気鋭のイラストレーターの方にグラフィックを書きおろしていただき、今や人気の映えスポット!
偉い人がここで打ち合わせしているのをみると、すごく、かわいい、親近感が沸く。
今回のグラフィックアーティストの紹介(敬称略)
JUN OSON
鎌倉市在住のイラストレーター・アーティスト。広告やアニメを中心に装丁や挿絵、グッズデザインなどジャンルを問わず幅広く活動中。主な仕事にメトロ文化財団が制作する「東京メトロマナーポスター」、NHK Eテレ「あはれ!名作くん」キャラクターデザイン、星野源ツアーグッズデザイン、ZARAとのコラボレーションなどがある。最近では北京でも個展を行うなど、オリジナルアートワークの制作にも力を入れている。
GraphersRock
岩屋民穂によるデザインプロダクション。インディーズからメジャーレーベルまで様々なCDジャケット、音楽まわりのデザインを中心に、アパレル、広告等、幅広い分野にアートワークを提供。様々な企業、ブランドとのコラボレーションでプロダクトを展開し続けている。
Utomaru
日米のポップカルチャーの影響を色濃く受けたキャラクター造形と色彩表現が特徴の作家。CDジャケット、MV、雑誌への作品提供から、キャラクターデザイン、コスチューム原案、漫画制作、プロダクト開発など幅広く活動中。アメコミを彷彿とさせるポップなイラストレーションで、ポップカルチャーシーンで活躍するアーティストへのアートワーク提供も行なう。
続いて、人気スポットの窓際席。
隅っこという点と、眺めが良いので人気なのかも。
続いてエントランスから奥の方には、よくカフェにも設置されていて、勉強している方のいる大型テーブル席。
ものを大きく広げられるので使い勝手が良いですよね。
(イベント時はオードブル置き場だな)
最後はバーのようなカウンター席。
AppleのGenius Barのような、ここに行けば専門家がいて相談に乗ってくれる、そんなスペースを目指して設置。
本棚を背景に、意外にここも配信や撮影スポットに使えます。
インスピレーションを求めて本の森を歩く
特徴的なエリアはこんなところですが、フロアを歩いていると、オブジェのように点在している本が目に入ります。
ディスプレイされているのは、「枠外の刺激」のために用意した本のセレクトです。
今回、Qeticさんの多大なる協力のもと、異なる業種や業界で活躍されている計8名の方に、自身が刺激を受けた本をコメントと合わせて選書いただきました。
今回の本のセレクター紹介(敬称略)
池澤あやか
ソフトウェアエンジニア・タレント。第6回東宝シンデレラで審査員特別賞を受賞し、芸能活動を開始。情報番組やバラエティ番組への出演やさまざまなメディア媒体への寄稿を行うほか、フリーランスのソフトウェアエンジニアとしてアプリケーションの開発に携わっている。
市原えつこ
メディアアーティスト、妄想インベンター。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作。国内外から招聘され世界中の多様なメディアに取り上げられている。
尾崎世界観
ミュージシャン・小説家。ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル・ギター。2012年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。2016年には半自伝的小説「祐介」を刊行するなど、執筆活動でも注目を集める。
草野絵美
アーティスト・タレント。歌謡エレクトロユニット《SatelliteYoung》を主宰。個人の活動としては、イベント・CM・ラジオ・TVへの出演や執筆を行う。
コムアイ
歌手・アーティスト。「水曜日のカンパネラ」のボーカルとして、国内だけでなく世界中のフェスに出演。音楽活動の他にも、モデルや役者、ナレーターなど、様々なジャンルで活動している。
佐藤健寿
フォトグラファー。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影。著書は写真集『奇界遺産』、『世界不思議地図』など多数。
たなか
アーティスト・俳優など。やきいも屋。前職はぼくのりりっくのぼうよみ。
ヨシダナギ
フォトグラファー。独学で写真を学び、アフリカをはじめとする世界中の少数民族を撮影、発表。唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価されている。
音楽による新しい繋がり方の提案
本棚と合わせて目に入ってくるのが、レコードジャケットのようなもの。
こちらは「仕事のインスピレーションを与えてくれる」をテーマに、Qeticさんにお声がけいただき、取り組みに賛同いただいた計11名のアーティストの方に選曲いただいたSpotifyのプレイリストです。
Morning、Afternoon、Nightの3つのシーンで仕事中におススメの曲を選曲いただきました。
同時に、在宅でもファーストタワーにいても「同じ音楽を聴く」という新しい繋がりを体験できないか、という試みでもあります。
今回のプレイリスターの紹介
大比良瑞希
シンガーソングライター。新時代のシティ・ポップを紡ぐサブスクリプション・ストリーミング時代を体現するシンガーソングライターとして注目を集めている。CMへの楽曲提供や、tofubeats、LUCKY TAPES、Gotchなど、様々なアーティストのサポートなど多岐に渡って活躍。
紗羅マリー
モデル、女優、デザイナー、シンガーなど。雑誌「InRed」「Gina」に出演中で、女優としてミュージカルや映画出演も果たす。自身のアパレルブランド「irojikake」のデザイナー、バンド「LEARNERS」のシンガー、1児のママとして、多岐に渡って精力的に活動中。
オカモトレイジ(OKAMOTO'S)
ロックバンドOKAMOTO'Sのドラマー。幅広い音楽的素養を生かし、DJとしても活動中。ファッションモデルとしての活動やMVのプロデュース、また、自身でエキシビジョンを手がけるなど、クロスジャンルな活躍で現代のカルチャーシーンを牽引。
AAAMYYY
シンガーソングライター、トラックメイカー。2017年からソロとして活動を開始し、2018年には”Tempalay”に正式加入。国内外の様々なアーティストとのコラボレーション、木村カエラ、DAOKO等への楽曲提供、CM歌唱提供等幅広い活動で注目を集める。
CHAI
NEO-ニュー・エキサイト・オンナバンド。2017年1stアルバム「PINK」が各チャートを席捲。音楽業界を超え様々な著名人からも絶賛を受ける。海外の活動も活発で、4度のアメリカツアーと、2度の全英ツアー、アメリカ、ヨーロッパ各国のフェスへの出演、中国・香港・台湾・韓国などアジアツアーも果たす。
chelmico
RachelとMamikoからなるラップユニット。2018年にワーナーミュージック・ジャパンよりメジャーデビュー。ワンマンツアーは軒並みSOLD OUTに。2020年、NHKアニメ「映像研には手を出すな!」のOPテーマ「Easy Breezy」が話題となる。
D.A.N.
2014年に3人で活動開始したバンド。2016年4月に1sアルバム『D.A.N.』をリリースしCDショップ大賞2017の入賞作品に選出。2020年はユニクロやNOVAのCM楽曲や、Netflixで全世界配信された渡辺信一郎監督による「キャロル&チューズディ」の劇中楽曲の制作など外部の創作活動も精力的に行う。
Kan Sano
プロデューサー、キーボーディスト、リミキサーとして国内外のアーティストのライブやレコーディングに参加。カネボウ、TOYOTA、LION、カルピス、CASIOなどのCM音楽やLINEとのコラボ曲リリース、J-WAVEのジングルなど、様々な企業に楽曲を提供。
mabanua
ドラマー/プロデューサー/シンガー。全ての楽器を自ら演奏し、国内外のアーティストとコラボして作り上げたアルバムが世界各国で話題に。また、プロデューサーとして100曲以上の楽曲を手がけ、多数のCM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。Shingo Suzuki、関口シンゴとのバンド “Ovall” としても活動。
tofubeats
ミュージックプロデューサー / DJ。森高千里、の子(神聖かまってちゃん)、藤井隆ら人気アーティストと 数々のコラボを行い注目を集め、4枚のアルバムをリリース。ドラマ「電影少女-VIDEO GIRL AI 2018-」や映画『寝ても覚めても』の主題歌・劇伴を担当するなど活躍の場を広げ多方面で注目されている。
U-zhaan
タブラ奏者。インドの打楽器「タブラ」奏者。14年には坂本龍一、Cornelius、ハナレグミ等をゲストに迎えたソロ名義のアルバム『Tabla Rock Mountain』を発表。20年はインド・アーメダバードで開催されたインド音楽フェス「Saptak Annual Festival of Music」に出演を果たす。
そしてなんと、このSpotifyプレイリストは、Qeticさんのアカウント上で公開されおり、読者の皆さまも聴くことができます!
どれもこれも気分が乗るBGMで、しかもプレイリスター毎に例えばMorningといっても様々な朝があるんだなと思う幅の広い選曲!流していても飽きないし、本当に仕事が捗る!
これを独り占めしては勿体ないので、同業種、異業種問わず、仕事頑張っているみんなでぜひ一緒に聴ければと思います。
(Spotifyはアカウントがあれば無料で聴けます)
生産性を重視したワークスペース
会議室も完備です。
最初、コロナ禍で密を避けるため、壁のある会議室はなくそうかという議論がありました。
ただ、会議がオンライン化したことにより、例えばプレゼンテーションの時は周りの声が入らない空間で対応する必要があったり、採用面接や面談のときには個人情報を話すこともあるため必要だったり(現在はWEB面接ですが)、なんだかんだで、あったほうがオフィスの利便性は高いと判断し、設けることになりました。
最後に6Fです。
7Fとは正反対のテーマです。
7Fが「動」なら、6Fは「静」といったところでしょうか。
僕たちはご存じの通り、在宅ベースの業務体系へシフトしています。
そのため、ファーストタワーへ出社する際は、情報発信だったり、チームビルディングだったり、新しいサービスの発想が必要な時になります。
ただ、上記を目的に出社した際に、その前後で何も業務ができないとなると、それはそれで効率が悪いですし、どうしても家庭の都合で家では業務しづらい方もいらっしゃるかと思います。
そのためにも、6Fは「Production & Performance」をテーマに、最大限、快適に作業ができるフロアとしました。
フロアの紹介は以上ですが、ところどころにQRコードがついていたのに気づきましたでしょうか?
実は7Fと6Fには、テーブル単位でQRコードが貼ってあります。
これは、自社のこのサービスを社内用にカスタマイズしたものを利用しています。
座席の利用時にスマホからチェックインすることで、もしコロナ罹患者が発生した際に、濃厚接触者を特定し、対応を最小限に収めます。
メンバーへ
最後に…執行役員兼副事業本部長の齋藤勝重さんの提案で、メンバーには入館カードを渡す際に、メッセージカードを付けて配布することにしました。
入館カード=ファシリティを自由に利用できる権利、招待状のようなものにもなるため、その瞬間のUXを少しでも豊かにできればという想いが込められています。
ぜひ大切に、でも擦り切れるくらい、使いきってもらえればと思っています。
Beyond.
場所の制約を超えて。これまでの常識を超えて。
何をしよう。何でもできる。
変化は、進化だ。
新しい出会いやサービスが生まれることを期待して。
—このファーストタワーから。
次回予告:最終回。終わりなき旅
無事オープンしたので、移転プロジェクトとしての記事は次回が最後の予定です。
今回、フロアを見たメンバーから、たくさんの感謝や労いの言葉をいただきました。
非常に嬉しくありがたく気持ち受け取っていますが、その度に思うのは、そのすべて、ご協力いただいたプロジェクトメンバーのお陰です。
次回はついにラスト!、『第5話:終わりなき旅』
今回のプロジェクトメンバー、最強のチームを紹介します!
乞うご期待!
でも実は、一番何が大変だったかというと、この記事を書くことです(笑)。その一区切りがつけられることが、何よりも嬉しい(笑)