ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第50回
2018年08月28日

50回の節目で、このコラムを一旦終了させて頂ければと思います。2年の長きに渡って皆様には拙い文章にお付き合い頂き、御礼申し上げたいと思います。

50回を通じて皆様にお伝えしたかったことは、「ダイレクトマーケティングはマーケティングの核になる」ということであったかと思います。かつての通信販売の先駆的な企業、シアーズが顧客を中心に据えて返品保証を導入したかのように、その後の企業も顧客の心理を読み解いた上で、様々な施策を生み出してきました。それはいわゆるテストに基づいた上での試行錯誤の結果であり、行動経済学を始めとした理論は後で説明として使われました。マス・マーケティングと異なる最大の特徴は顧客1人1人の行動を意識してみることであり、このことに関してはダイレクトマーケティングの中枢機能としては一世紀以上、普遍のものであるものと考えます。昨今のネットによるプラットフォーム企業への集中化は大きな課題となっていますが、最後の生命線は真摯に顧客と向かい合うことに尽きるかと思います。この当たり前のような姿勢は単純なようで、いかに奥が深いかはビジネスに係わった方であるならばお解り頂くことであるかと思います。5年後、10年後という近い将来でさえ、これまでの時間間隔とは異なるスピードで皆様のビジネス環境は変化していくことが予想されていますが、顧客の感情の基本は変わらないのではないでしょうか。我々がロボットではなく人間であるがゆえに感情によって行動することを前提にすることが、ダイレクトマーケティングの根底にあるものと考えています。

最後までお読み頂いたことをあらためて感謝申し上げます。また、このような場をいただいたトランスコスモス・アナリティクス(株)様には辛抱強く掲載をお許しいただいたことも含めて御礼申し上げます。自分自身、どこかで再びこのような機会を与えられた時には、更に高い次元での視点からお話ができるように精進して参りたいと思います。