ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第10回
2016年12月26日

今年も後わずかとなりました。多くの皆様が1年の早さを実感されていることと思います。個人的には6月末で日本通信販売協会を退任し、8月からは皆様とこうした形でコミュニケーションをとれたことを改めて感謝申し上げたいと思います。

さて、ダイレクトマーケティングに係る今年1年を振り返ってみたいと思います。まずオムニチャネル的な側面ではセブン&アイホールディングスが方向転換したごとく、ネット通販の売上を伸ばすという視点から、店舗をフォローアップする視点へと変化したことが挙げられます。そういった視点からみると、無印良品が行ってきた「MUJI passport」をベースとした施策が方向性としては、今のところ模範となるような気がします。ただ商品ジャンル、ブランド性、顧客マインド等によって異なることを留意しないと難しい点もあることを付け加えておきます。

次にAIのビジネス面での動向が注目されてきたことです。具体的には自動運転、自動翻訳をはじめ、これまで人間が考えなければならなかったことがAIに置き換えられていくことは新しいビジネスチャンスとなります。もちろんダイレクトマーケティングにおいても様々なビジネスモデルが登場することが予想されます。

3つ目としてはCRM、リテンション等、新規顧客を取りにくくなった現在、既存顧客との関係の重要性が叫ばれていましたが、さらに来年以降、ダイレクトマーケティングの核として現実的な対応が求められていくことになるでしょう。そういった意味ではコールセンターの重要性もますます高まっていくことも予想されます。

いずれにせよダイレクトマーケティングは通信販売という狭い視点ではなく、業界の垣根を越えて、来年以降もますます注目されていくことは間違いないようです。

皆様、あるいは企業のご多幸を祈りつつ、今年最後のコラムを終えたいと思います。来年また、お目にかかりたいと思います。