ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第11回
2017年01月10日

新年、あけましておめでとうございます。今年は「酉年」。正確に言うと“丁酉”(ひのととり)になり、鳥は人に時を報せる動物で「とり」は「とりこむ」と言われ、商売などでは縁起の良い干支だそうです。皆様のビジネスが多くの機会(チャンス)を取込み、発展を遂げられるように祈念しています。

前回に引き続き昨年のダイレクトマーケティング業界について考えてみたいとおもいます。通販新聞が行っている読者アンケート「2016年の通販業界10大ニュース」トップ3は「消費税率の引き上げ延期」、「即時配送の拡大」、「アマゾン、全品送料無料を廃止」でした。

消費税については通販業界固有のものではなく、影響の先送りということで、さらに消費者のお財布の紐が固くなる時期に備えて、自社の新たな魅力づくりをしていかなくてはならない、と捉えたほうがよいでしょう。

即時配送・アマゾンについては、ネット通販が中心の時代においてフルフィルメント、とくに物流の重要性が極めて高いということを反映したものです。即時配送に対しては、よく「そんなに早く届ける必要があるか」という疑問も投げかけられますが、ヨドバシカメラの物流に対する「在庫商品を適正に動かす結果が2時間半配送となった」という考え方や店舗に対する競争力ということからも、ますます即時配送が進化していくことが考えられ、個々の通販企業にとっても無視することはできなくなるかとおもいます。さらにアマゾンの全品送料無料の廃止も、物流コストの上昇に対して対応せざるを得なくなったことが背景にあります。

2020年の東京オリンピックに向けて、ますますこの問題は顕在化してくることと考えられ、通販にとっては非常に重要な満足度の指標となり得るべきものです。いずれにせよ物流問題に対応していくのか、それとも商品や他のサービスの魅力度で顧客を繋ぎとめるのか、方向性をはっきりさせることが求められるでしょう。