ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第12回
2017年01月23日

2017年の今年はどんな年になるでしょうか。企業トップの方々が仕事始めの1月4日に表明した年頭所感では「不確実性への警戒」「変化への対応」「働き方改革」などがキーワードとなったようです。

さらには昨年の米国大統領選で大方の予想を裏切って当選したトランプ次期大統領が掲げる「強い米国の復活」は、英国の欧州連合(EU)離脱とともに保護主義政策として、日本経済に与える影響は少なからずあるものと思います。

小売、消費動向の影響では、セブン&アイホールディングスの井坂隆一社長が「将来に対する不安などを背景に顧客の節約志向がますます高まるだろう。」と述べているように、消費税の先送りはありましたが、今年は顧客のお財布の紐は緩くはならないようです。

ダイレクトマーケティング関連の業界でも顧客のレスポンスを向上させていくためには、これまで以上のより良い商品と、それをいかに伝えていくかを極めていくことが必要でしょう。全体的に高齢者の割合が高まり、健康志向が重要であるからといって、全部の健康食品やアンチエイジング系の商品が売れるわけではありません。不確実性がキーワードであることは、先が読みにくいことの表れでもありますが、顧客が求める商品は「今、自分が必要としているモノ」であることは変わりません。

商品が横並びになり差別化しにくくなる中で、本当に必要な商品を適切に販売していく、ということが求められてきているとも言えます。不確実な時代であるからこそ、顧客のレスポンスをダイレクトに受ける皆様の事業がむしろ本領を発揮する時代である、と考えるべきではないでしょうか。

いくつかの企業で通販を「通『心』販売」と言い表されていますが、まさに顧客の「心」(本当の嗜好)を読み取ることがダイレクトマーケターとしての使命とも考えられます。顧客のために展開していれば顧客は応えてくれるものであることを念頭に置いて、2017年を乗り切っていきましょう。