ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第23回
2017年07月10日

通販業界では中途入社が数多くみられます。それだけ専門性が高い仕事である、とも言えましょう。最近、私自身に問い合わせが多い職種としてはネットの責任者・コールセンター責任者・MD関係等の人材紹介の相談です。

中でもネットの責任者については、これまでは社内での登用が中心でした。しかし当コラムでも述べてきた通り、特に既存の通販企業では、カタログ等の媒体と異なる新しい仕組みを構築しなくてはならない事も含めて、即戦力の人材が必要です。そのため需要が高くなっているもの、と思われます。

一般的に人材を獲得するには公募の他に、通販専門の紹介業を行っている企業に委託する方法があります。

登録者は結構いるようですが、問題は人材を探している通販企業のニーズに応えられる人材はそうそう多くはいないことです。ネットの人材は特にそうですが、例えばIT系企業から通販企業のネット責任者を志向する人材は少なく、紹介企業等に登録することは稀なのも理由のひとつです。

中途入社にはいくつかのパターンがあり、ひとつは通販業界内で動く形です。これで成功している方をみると、環境が変わることにより前職以上に能力を発揮して活躍されている方が何人かいらっしゃいます。せっかくの能力を活かしてこそ、という視点からみれば理想的な人材獲得とも言えましょう。

他には、業務毎の関連業界から転籍されてくる形があります。たとえばコールセンター系企業から通販企業の受注センター業務の担当となる方、等です。

いずれにせよ、成功する人材獲得の最も重要な点は、スキルの高さは当然ですが、既存の従業員とのコミュニケーションが円滑にいくかどうかである、とよく聞きます。その方が新しい血として注入されることにより、企業に新しい動きがでてくることこそ、人材獲得の最大の効果、とも言えましょう。