ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第30回
2017年10月23日

ノーベル賞の季節となりました。毎年、ノーベル賞の話題がでる頃はまさに秋を感じる季節ともいえます。

ご存知のようにノーベル賞はダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まったものですが、日本は非欧米諸国の中で最も多い26名の受賞者を輩出しており、それだけ我々は毎年、期待を持っています。

さて、この「賞」というものですが、ある意味ではブランド戦略と関係しているものとみられます。「賞」との関わり方は2つあり、一つは「賞」自体を主催する側、もう一つは「賞」を受けとる側です。

前者での事例としては(株)電通が主催する「広告電通賞」、日本郵便(株)が主催する「全日本DM大賞」、(株)ユーキャンと(株)自由国民社がおこなっている「新語・流行語大賞」などが代表的です。

「全日本DM大賞」は「DMを使いましょう」と直接的にキャンペーンとして言うことも大事ですが、その年の優秀なDMを選考して、最終的には書籍として刊行することにより、DMのビジネス的な利用方法を啓蒙していく、という目的があります。

また「新語・流行語大賞」は毎年の定番的な行事としてマスコミの注目度も高く、メディアでの取上げも多くなっています。このことにより(株)ユーキャンは企業としての文化貢献的なブランディングを行っているものといえます。

もう一つの賞を受取る側としては、自社の広告やコミュニケーション・ツールで告知することによるブランディング効果、つまりその賞権威や影響力があるほど、その効果は高いものがあります。企業に所属する個人が受賞する場合も含まれますが、その代表的なのが(株)島津製作所に所属していた田中耕一氏のノーベル化学賞の受賞でした。

ノーベル賞ほどの世界的権威はなくとも、「賞」は企業の価値をわかりやすく代弁するものであるかもしれません。昔のミュージカル映画の中での「ショウほど素敵な商売はない」という歌をひっかけて思い出します。(笑)