ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第35回
2018年01月16日

遅ればせながら本年もよろしくお願いします。気が早いようですが来年(2019年)は十二支の最後、つまり「亥年」となり、2020年は再び、新しい十二支が始まることになります。そういった意味では今年は次なるサイクルへの準備の年ともいえるのかもしれません。

2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催の年にあたります。以前の1964年に開催された時は高度成長の象徴であったようにもおもいますが、今度のオリンピック・パラリンピックは成熟化の時代の中での開催となるわけで、時代背景はまったく好対照となります。いずれにせよ、皆様の仕事、ご家族に幸せがくることを祈りつつ、今年の展望を一言記させて頂きます。

正月からの新聞では憲法改正論議、明治150年、AI、IoT、ビットコイン、グローバリゼーション等々、さまざまなキーワードがあげられていましたが、小売・サービス業に大きな影響を与えるひとつの言葉が気になりました。「柔家族」という言葉ですが、以下、引用させて頂きます。

“明治政府が掲げた『家父長制』。女性に家庭を守らせ男性の労働力を投入し、経済を陰から支えてきた。人口減少に転じ、女性の力が欠かせない今なお、性別役割分担の意識が残る。家族の構造改革は待ったなし。目指すのは、他者とつながり男性と女性の役割を固定しない『柔家族』だ。”
(2018年1月1日付 日本経済新聞電子版より)

実際、我が家でも以前は大掃除を汗水たらしながらおこなっていましたが、現在では手間がかかるところはお掃除サービスの会社に頼み、お節料理もかなり前からネット通販で予約しています。新聞で紹介されていた料理のプロが家庭に来て調理するサービスも、このような意識の変化によるものだと思います。多くの家庭内労働が女性の負担となっていたのですが、こういったサービスの外部化は一層進んでいくことが予想されます。

いつの世でも時代背景、世相をとらえて新しいビジネスは生まれます。家族の構造変化による新サービス(商品)は今後さらに起業されてくるのではないでしょうか。男性みずからが意識を変化させないと、時代とのずれが生じてくることに注意していくべきでしょう。