ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクト
マーケティング抄
50 ダイレクトマーケティング研究所長 柿尾 正之の ダイレクトマーケティング抄 50

柿尾正之【かきお・まさゆき】

マーケティング会社にて小売業・外食産業等のリサーチ・コンサルティング業務に従事。1986年04月、公益社団法人日本通信販売協会(所管:経済産業省)に入局。おもに調査、研修業務を担当。主任研究員、主幹研究員を経て、理事・主幹研究員。2016年06月、退任。現在、企業顧問、社外取締役。駒沢大学GМS学部講師(非常勤)。日本ダイレクトマーケティング学会理事。著書に「通販~不況知らずの業界研究~」(共著:新潮社)等多数

第36回
2018年01月30日

私的なことで恐縮ですが、1月も半ばになる頃、神田明神に新年の祈願に行ってきました。事務所を開設して1年、皆様のおかげでつつがなく業務ができたことを感謝するとともに、今年もさらなる飛躍をとの決意を誓ってまいりました。

インターネットが普及してデジタル化が進行する社会ですが、やはりわれわれの心の中には、信心深い一面が誰にもあります。深く宗教的な考えというよりは、縁起物だから初詣には行かないよりは行った方がなにかすっきりする、という軽い考えです。

この縁起をかつぐということは実は通販でも取り入れられおり、数多くの縁起物の商品が売られています。実際、楽天市場やアマゾンのネット通販では「縁起物」というジャンルでグルーピングされているくらいで、たくさんの商品がアップされています。

たとえば、かつて販売されていた「黄色い色の財布」。黄色はお金を呼ぶ色として、多くの通販企業でも販売されました。最近では異なった色や違うオファーの財布も売られており、「金運」を賭けた競争がされています(笑)。もちろん、基本的にオファーにはエビデンス(科学的根拠)が必要ですが、健康食品や化粧品とは異なり、縁起物にはウィットに富んだほほえましさを感じます。

以前コラムでもテーマとさせて頂いた行動経済学でも触れましたが、消費者はネット通販のような合理的な購入だけではなくて、感情的に商品を購入することが多々あります。よりデジタル社会が進行していくなかでも人間が存在し続ける限りは、感情が行動する際の重要な要因となっていきます。

干支や風水をはじめ縁起をかつぐことも含めて、結局、人は何か商品を購入する時に正当性をみつけることが大事なことなのかもしれません。私自身もけっして信心深いほうではありませんが、どちらを選ぶかとなれば価格が若干高くても縁起がよいほうを購入することは多々あります。ネット通販で購入する割合は増えましたが、基本的な感情による購入は変わっていないことを実感します。