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料理に欠かせない調味料といって多くの人が思い浮かべるのはグルタミン酸ナトリウム(MSG)ではないだろうか。そして、MSGと頭に浮かぶブランドといえばやはり「味の素®」だろう。
タイ味の素社は、飲食卸売業だけでなく飲食業界全体のリーダーである。1960年創業以来63年、タイ味の素社は成長を続け、今では、調味料、飲料、即席麺など時代とともに変化し続ける消費者のニーズに合わせた飲食関連商品・サービスを開発・製造するタイ「味の素グループ」へと進化した。

タイにおける味の素事業の原点とその発展

味の素商品を目にする場所は、スーパーマーケットやハイパーマーケット(総合大型スーパー)、コンビニエンスストアや路面店だと思うかもしれないが、味の素はオフライン市場での独占的地位にとどまらず、常に革新を遂げている。

COVID-19(新型コロナウィルス感染症)感染拡大後から3‐4年、味の素はロックダウン(外出・行動制限)でこれまでデパートやコンビニで買っていた商品を購入でき なくなった消費者ニーズを満たすチャネルとしてオンラインチャネルの重要性を認識した。その後、総力を挙げたオンラインチャネル・ECサイト構築に向けた取組が功を奏し、今も好調な業績を生み出している。

Tatematsu氏:味の素の事業は、『味の素®(うま味調味料)』の名のもと、MSGを製造・販売することから始まりました。その後、当社は、『RosDee ®(ロスディー)』、『Birdy®(バーディー)』、『Birdy® 3in1(バーディー 3in1)』、『Yum-Yum®(ヤムヤム)』など、風味調味料・料理用調味料 、飲料から即席麺まで商品を拡大してきました。

Hironari Tatemats氏

タイ味の素社
デジタルマーケティング部 部長
Hironari Tatematsu氏

味の素商品購入チャネルの変化

オンラインチャネル、そしてECにフォーカスすることに決めた要因をこう語る。

Tatematsu氏 :当時E-commerce、EC市場は急速に拡大中のチャネルでした。当然、当社もそれは認識していましたが、特にCOVID-19感染拡大後、タイのみならず全世界のEC売上が増加しました。EC事業だけでなく、市場自体が急速に拡大していたのです。

当社の事業は従来、ウェットマーケット(市場)、路面店、コンビニエンスストア、スーパーマーケットやハイパーマーケットなどの味の素商品購入チャネルの変化オフラインチャネルに非常に強いという性質を持っています。

お客様との新しいタッチポイントとなるオンラインチャネルでも後れを取りたくないと考えていました。

味の素は、お客様とのタッチポイントとなったオンラインチャネルの重要性を実感していたのである。オンラインチャネルは、商品や商品情報にアプリやWebサイトからアクセスしたいという消費者のニーズを満たすものである。

中でもECプラットフォームは、オンライン購入と自宅配送を望むユーザーに対応できる。

味の素とトランスコスモスのパートナー開始

当時、味の素社がオンラインチャネル分野の専門性を持つ「伴走型」パートナーを探していたこと、トランスコスモスをパートナーに選んだ理由を聞いた。

Tatematsu氏 : 当社にはオンラインチャネルに関する経験がなく、一緒に話し合って歩んでいけるパートナーを探していました。

そんな中、トランスコスモスに出会い、まずはお互いを理解し、当社の期待値を伝え、トランスコスモスに提供してもらえるサービスを知ることから検討を始めました。数回の打ち合わせの結果、トランスコスモスが当社にとって最適なパートナーであると確信しました。

トランスコスモスは2つのサービスを味の素に提供。1つ目は、ソーシャルメディアおよびECプラットフォーム上のデジタルマーケティング運用管理サービス。2つ目は、データ管理サービスである。インタラクティブ・ダッシュボードで全てのデータを1か所に収集・蓄積。データ分析から新商品・サービス開発につながるインサイトを得るだけでなく、お客様の行動に合わせてマーケティング戦略を修正した。

味の素は、トランスコスモスのサービスについてこう述べる。

Wasatammasit氏 :今、味の素はトランスコスモスの2つのサービスを利用しています。1つ目は、Facebookコラボレーション広告やGoogle Shoppingなどのペイドメディアで、Shopee adsやLazada adsなどプラットフォーム広告も含まれています。ペイドメディア全般を管理するプラットフォームマーケティングツールも提供いただいています。

2つ目は、インタラクティブダッシュボードレポートです。このダッシュボードでデータや顧客インサイトを収集し、データ分析を行っていただいています。

Pimanmas Wasatammasit氏

タイ味の素社
デジタルマーケティング部
ECオペレーションセクションマネージャー
Pimanmas Wasatammasit氏

味の素オンラインチャネル取組の成功要因・インサイト

Wasatammasit氏 : オンラインチャネルの重要性、そして今の時代の消費者にとってオンラインチャネルは日常生活の一部であることから、当社商品をより多くの消費者に届けるためShopeeやLazadaなどさまざまなマーケットプレイスプラットフォームとパートナーを組むことに決めました。オンライン売上を伸ばし、味の素ユーザー層をさらに拡大するチャネルとなる可能性を持つTikTokへの進出も検討しています。

ECチャネル導入時に味の素が行ったアプローチについてこう述べる。

Wasatammasit氏 : もうひとつのアプローチはデータ、特にデータ分析にフォーカスすることです。これにより、パーソナライズしたマーケティングやデータ駆動型マーケティングを実施できます。お客様の行動から顧客インサイトを得ることで、その行動やライフスタイルに合うように既存商品・サービスを調整したり、新商品・サービス開発につなげられます。こうしたデータを当社事業に反映し、購買体験や顧客体験の改善を目指しています。

EC分野への進出で、より多くのプラットフォームで商品を販売し、オンラインユーザー層にリーチすることを目指すだけでなく、味の素がいかにお客様や顧客データを重視していることがわかる。現在、トランスコスモスと味の素はカスタマーデータプラットフォーム(CDP)プロジェクトに取り組み、CDPツールで味の素WebサイトやEC店舗を訪れたお客様や実際に商品を購入したお客様のデータを収集、分類、分析している。

プロジェクトの目的は、CDPで収集したデータを利用しお客様の関心が最も高い商品や商品情報ページ滞在時間、最も閲覧回数の多い広告やお知らせなど、顧客インサイトを得ること、そのインサイトから顧客をセグメント化し、顧客エクスペリエンス全体を向上することである。さらに、データに基づいたマーケティングプランの作成やビジネス判断も可能になる。

トランスコスモスのサービスについては次のようにコメントしている。

Wasatammasit氏 :トランスコスモスのサービスには心から満足しています。トランスコスモスチームは非常に積極的でどんなことでもいつも進んで助けてくださいます。また、当社にとって重大な問題に必ず適切なソリューションを提供し、当社の目標達成を支援してくれます。

Tatematsu氏 :トランスコスモスは当社の真のビジネスパートナーです。問題が発生した時、課題を抱えている時だけでなく、何か新しいことを行いたい時にも、いつもトランスコスモスに相談しています。そして、チームは必ず素晴らしいソリューションを即座に提案してくれます。
味の素はこの分野で知見が少なく、トランスコスモスのようなワンストップサービスを提供できるビジネスパートナーを求めていました。トランスコスモスは専門分野が広く、さまざまなサービスを提供しているので、当社をガイドし、さまざまなハードルを一緒に乗り越えていけます。

現状にとどまらず、常に事業を発展させていく味の素の決意

今回の取材で、味の素がソーシャルメディアでの販促やECプラットフォームを用いた購買チャネル拡大、より広範な顧客へのリーチにフォーカスしていることがわかった。

最後に、オンラインチャネルの今後の方向性を聞いた。

Wasatammasit氏 :今後取り組みたいポイントは3点です。
1点目は、ソーシャルメディアをより効果的効率的に運用し、低コスト・高パフォーマンス運用を実現することで、デジタルマーケティングを改善すること。2点目は、ECです。よりシームレスな運用で確実に期日通りに商品・サービスをお客様に届け、顧客満足度を改善していきます。3点目は、データ分析です。分析からインサイトを獲得できる顧客データの重要性を認識したので、今後は獲得したインサイトからマーケティングキャンペーンを立案、消費者ニーズに沿ったコミュニケーション、商品を提供していきます。

味の素はこれまでも、チャネル管理効率改善や優れた顧客エクスペリエンスの提供、顧客データ分析から得たインサイトでビジネス管理全般を改善するなどさまざまな形でオンラインチャネルを改善し進化させてきた。こうした実績を持つ味の素が、デジタルマーケティング、EC分野でのさらなる成功に向かっていることは間違いない。

Tatematsu氏 :デジタルマーケティング分野には、顧客エクスペリエンスを最大限に高める可能性があると考えています。カスタマーデータプラットフォーム(CDP)プロジェクトを開始したばかりですが、評価プロセスを経て、公式パートナーとしてトランスコスモスと今後も共に進んでいこうと決めました。一緒に新たなジャーニーを始めます。トランスコスモスには、デジタルマーケティング分野をさらに拡大していく「伴走型」パートナーとして今後も当社と一緒に歩んでいただくことを期待しています。

※本インタビューは2023年8月18日BrandCaseに掲載されたものです


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